「専門ジャーナリストから見た日米テック業界」(ケイン・岩谷ゆかり氏、海部美知氏)開催レポート

みなさま、こんにちは。ケイン・岩谷ゆかり氏、海部美知氏による対談のレポートをお送りします。レポーターは石綿整氏です。

iwatani_kaifu.jpg


今回のセミナーは岩谷ゆかりさん。

日本生まれの日本人で、父の仕事の関係で3歳でアメリカへ。13歳までアメリカで過ごしながら、現地校に行きながら補習校に通ったり、通信教育を通して日本の勉強を続ける。13歳で日本に帰国したのちに、15歳で再びアメリカへ再転勤する。その後、高校をアメリカで卒業し、George Town大学を卒業。在学中1年間日本に逆留学もする。現在はWall Street Journalの記者として主に、アップルを担当している。

ジャーナリストになるきっかけは、中学生の頃からの両親からの言葉だったとのこと。日米摩擦の問題などが新聞で取り上げられるたびにゆかりさんが大きくなったら新聞記者として、日本とアメリカの橋渡りとして本当の情報を伝える記者になりたかったそうだ。


また、ワシントンという世界のメディアの集結している場所で大学に通ったことからメディアへの関心も高まり、とりあえず日本の東京新聞でインターンを始めたことをきっかけに他の人とは比べ物にならないようなレジュメが出来上がっていったとのこと。テクノロジーを専門にした理由としては、事件などのことを取材するよりはビジネスの上で冷静に取材がしたかったからとのこと。その中でも一番のびているフィナンシャルニュース、またゆかりさんがキャリアを始めた頃は携帯はみんなが見ていないところだったことからその道に進んだそうだ。最初はロイター通信で英語のメディア向きに書いていた。東京では日本のニュースを分かりやすく、背景を含めて、アメリカではインターナショナルな視点で書いているとのこと。例えば、iphone4について書いたときは、世界の支局の記者とコーディネートし、日本を初めに、ヨーロッパ、アメリカと記事を回した後に世界に向けて記事を発信したそうだ。

そんな、岩谷さんが担当された記事の中でも印象に強いものと言えば東芝西田社長によるHD-DVD撤退に関するインタビューです。そのことに関しても岩谷さんは、あれは自分が良い記事を書いたというよりは東芝の対応の早さの光った記事だったと冷静に自分の業績を評価する。ソニーとの争いに負けたにも関わらず、迅速な対応は結果的には東芝のイメージアップにつながった。東芝の敗北会見の翌日に申し込み、3日以内にこの記事に関する取材のオーケーを得たという。日本とアメリカの取材の違いについて岩谷さんは、アメリカは事前質問提出なし、テーマのみに対して日本は事前に質問を提出させるのが基本だそうだ。また、記事を書くことに関しては、日本ではニュアンスにもとづいて作成することもできるが、アメリカでは言ったことのみしか書けないとのこと。また、やはり大きな違いはその記事をどれだけ会社の広報がチェックしているかのようだ。日本では記事を読まない取材相手も多いそうだが、アメリカでは記事が出て一秒後には広報に読まれ、クレームの電話がくるらしい。なので、アメリカでは5分以内に電話がなければ安心なのだそうだ。

取材の仕方について、ロイター通信時代は、とても日経にはかなわぬ立場にあったため、押して、自分の足で努力していたそうで、よく情報収集に飲みにも行ったそうだ。Wall
Street Journalに移ってからは取材はしやすくなったそうだが、日本で自分の足で情報を集めていた経験を生かして、電話は断り、直接会うことをいつも心がけているとのこと。日本での経験から人柄でニュースをとるようにしている。また、日本とアメリカの記事の違いの一つとして、署名があるのと無いのに関しては、自分の書いたことに対する責任の持ち方と、専門性のあり方の違いを指摘された。海部さんによると、日本の新聞社では取材相手に癒着しないために担当を頻繁に異動するところもあるということだったが、このコメントに対して岩谷さんはアメリカのジャーナリストが専門性を持つからといって取材相手がずっと一緒であるわけではないとのこと。彼女自信、Motorola, NTT docomo, KDDIなど担当してきたが、同じ会社ではないが、同じ分野であることからこれらの会社を担当することは専門性を磨くのに非常に役立ったそうだ。また、新聞社の中での人の使い方に関しても、日本では一人が一つの部署に長くいることはなくかなり早い回転で回されるため、専門性を持った記事が書けない。アメリカでは、1年を分野理解に、2年を分野開拓に、そして3年目でスクープがとれれば良いとされており、記者が磨き上げられることに付加価値を据え、きちんと記者に対して時間を与えるそうだ。
また、新しいメディアの利用については、2年前は記事だけだったのに対し、最近ではweb上でのライブショーなどでその日の記事のことを話した上にそのことをtwitterしたかの確認がエディターから入るそうだ。

また、海部さんに「アメリカのジャーナリストとしての視点で見える、日本の企業に固有の問題点は?」と聞かれ、岩谷さんは、視点の持ち方に問題を感じると指摘した。例えば、アメリカに戻る直前に、ある企業の商品発表会見を見に行ってがっかりしたことがあったという。それはエレクトロニクスの会社なのだが、他社よりも99.9%の質を極めることに尽くしており、その非常に小さい差を縮めるような姿勢は視野が狭いと感じるということだった。視野を広くし、他の価値を見いだし続けることで差をつけるべきであるとのこと。

普段では聞けない記者の事実をたくさん聞くことが出来て非常に参考になりました。どうもありがとうございました!!

担当:スタンフォード大学 EE dept. PhD candidate 石綿 整




No TrackBacks

TrackBack URL: http://www.jtpa.org/cgi-sys/cgiwrap/seiran/mt/mt-tb.cgi/241

コメントする

About JTPA

JTPAは技術を志向する日本人プロフェッショナルがシリコンバレーで働くのを支援するためのNPO団体です。» 詳細はこちら

Recent Tweets

    Follow @JTPA on Twitter
    Powered by Movable Type