今回はバイオ技術を駆使した動物に関する情報を集めてみました。写真もお楽しみください。
JTPA代表
渡辺地価
村山尚宅


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Contents:
1 コラム:バイオ技術で動物をビジネス利用
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バイオ技術で動物をビジネス利用

バイオ技術で動物を科学的に変化させる研究がシリコンバレーの某バイオテックの会社で進んでいる。もちろん、動物実験はいずれ人間に利用されるのだが、この科学的に変化した動物を使うビジネスアイデアがあちこちで出てきている。どのような技術でもすぐビジネスに結びつけるのがシリコンバレーという実態に迫る。
ミーアキャットによる国境警備
これはテキサスとメキシコの国境の一部で実験的に行われたことでも最近有名になった。メキシコから国境を越えてくる違法移民の数は一年に一千万人とも3千万人とも言われている。今までの限られた国境警備予算では、完全な違法移民の取り締まりはほぼ不可能だった。その限られた予算のために考えられたのがこの計画だ。
ミーアキャットは、アメリカ側から国境を得意の
「立ち上がり」
で監視し、もしも国境を越えてくる違法移民を見つけると、メキシコに移民が自国に逃げ帰るまで攻撃をするという役割を果たす。食料は砂漠に生息するサソリや野鼠なので、コストもほとんどかからないというアイデアだ。
この技術はサウス・サンフランシスコのある某バイオテックの会社がサニーベールの某レーザーテクノロジーの会社と共同出資で開発したと言われるが、政府の関与も指摘されている。
最初はそのバイオテックの会社が遺伝子工学でミーアキャットの知能を上げることに成功した。しかし、インテリジェンスが高いだけでは「国境を監視する」という一つのタスクを教え込むのには無理があった。そこで、このバイオテックの会社は某有名大学の脳神経学研究科に助けを求め、レーザー技術を組み合わせることでミーアキャットの行動パターンをコントロールすることに成功した。
技術としては、光に反応するタンパク質を運動をコントロールする大脳皮質に生成するのがこの研究のキーだった。そのタンパク質に光を当てることで、大脳皮質からミーアキャットに特定の運動パターンを与えることが出来る研究は既にこの大学で成功していた。レーザーの調整によるパターン分析はレーザーテクノロジーの会社が担当し、時間はかかったもの、この技術を確立した。個々のミーアキャットには太陽電池と一体になったコントロールモジュールが埋め込まれており、そこから光ファイバーで大脳皮質に光が送られるようになっている。
現在はコストとしてはミーアキャット一匹について6,000ドルの投資が必要と言われているが、量産となればコストは一匹400ドルまで下げることが出来るという見解が発表された。
政府としては、2008年までにメキシコとアメリカの国境全てにこのミーアキャットを設置する予定だ。国境に立ち並び、メキシコを睨むミーアキャット達の列は圧巻であり、その勇敢さから、国家警備隊として米軍の軍隊の一部と認知されるべきだという意見も出ている。
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九官鳥によるカスタマーサービス
安いと思われたアウトソーシングによるコールセンターも、結果的に人事やトレーニングなどにお金がかかりすぎることが分かってきた。そのために開発されたのが、「九官鳥によるカスタマーサポート」だ。特にインターネットのセットアップなど、決まりきったプロトコルはカスタマーサポート側に用意されているので、決まったフレーズを繰り返して発言できる九官鳥を利用するというアイデアは昔からあった。
遺伝子組み換えによって九官鳥のインテリジェンスを多少上げることで、九官鳥は電話相手の反応をみて的確に次のプロトコルを選んでいく。コンピューターの問題はほとんどがユーザーエラーなので、九官鳥の言うとおりに順序を踏んで作業をしていけば、99%の問題が解決できる。解決出来ない時になって、初めて人間のカスタマーサポートが出てくるという仕組み。
人件費は九官鳥の利用で80%以下まで削減できるというレポートが出されている。テキサスの某コンピューターメーカーがすでに利用しているが、
「鳥と話したくない」
というカスタマーの反対が予期されるため、ほとんどのコールセンターは極秘に実験的利用をしている。
アイデアとして面白かったのが、九官鳥達にインド訛りの英語を教えるという点だ。これなら、多少の訛りの混じった英語のおかげで九官鳥の言葉に間違いがあってもごまかせる。また、ほとんどのオフショア・コールセンターはインドにあるので、インド訛りで答えるカスタマーサポートに一般人は慣れているという点もある。
まだ大きな問題が二つ残されている。九官鳥が文章の合間、稀に
「奇声を発する」
また
「羽をバタバタさせる」
という習性だ。こればかりはどのような遺伝子組み換えをしても、解決できなかったという。もしもカスタマーサポートと電話をしていて、バタバタバタと変な音が電話の向こうから聞こえたら気をつけよう。
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アライグマ利用の洗車サービス
下がる下がると言われながら、一向に下がる気配が無いシリコンバレーの家の値段。ファストフ-ドレストランなどで働く低賃金層の人口流出が課題になっている。ファストフード産業と同じく、家の値段の高騰から営業に打撃を受けているのが洗車場だ。最低賃金が6ドルの今、車一台につき最低清掃員2人を40分必要とする洗車サービスでは、10ドル前後の洗車料では元が取れない。
あるバイオテックのシニアサイエンティストは、自分の乗っている真っ黒な高級メルセデス・ベンツをいつもピカピカに磨いておきたかった。そのため、会社の駐車場でも毎日アルバイトを雇って車を磨かせていた。いくら高給取りのサイエンティストでも、毎日バイトを雇っているとコストもバカにならない。
そこで、彼が思いついたのがアライグマの「洗う」習性を利用して自分の車を洗車させようというアイデアを思いついた。誰でも思いつきそうなアイデアだが、これをバイオ技術で実現させたのがこのサイエンティストの凄さだった。帰宅時間に近づくと、彼の研究室からゴソゴソとアライグマ達が登場し、せっせと洗車をする。手が小さいおかげか、細かい所まで実に綺麗にしてくれる。特に内装などピカピカにしてくれる。
このアライグマのアイデアをビジネス化するまで時間はかからなかった。人件費の削減は圧倒的だ。今ならサウス・サンフランシスコの洗車場のほとんどに最低1セットはアライグマのクルーが存在する。洗車場でアライグマが並んで待っている風景というのも不思議で無くなってきた。アライグマの食料を洗うという習性を利用するため、車用のシャンプーに肉の味をつけるというアイデアで、アライグマ達はより一層洗車に力を入れるようだ。
アライグマはもともと賢くてイタズラ好きなのだが、この癖が抜けないのが問題。時々イタズラが過ぎて、何匹かで洗車に出ていた車を運転して出かけてしまうような事件もあった。車の後部座席に隠れておいて、持ち主が車に乗り込んだ瞬間、後ろから驚かすようなタチの悪いイタズラも好きらしい。
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猫の知能向上

それぞれの動物がそれぞれの特性を持っているため、遺伝子工学で知能を高め、トレーニングを与えるだけで人間の仕事を取って代わる可能性があることが証明されてきた。現在バイオテックでは、ほぼ全ての動物の知能の向上に成功しており、それぞれが優れた研究結果を出してきている。
犬は嗅覚の良さを利用して密輸を防ぐ仕事を何十年もしているが、現在はその能力を使いながら、遺伝子工学で生まれかわった犬のソムリエがナパに多々存在するのは周知の通りだ。
ペットとして人気の猫も、もちろん遺伝子工学の対象となっている。しかし、どんなに知能を上げても、猫は毎日寝ているだけなのが大きな課題となっている。
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編集後記:戸谷茂
サンタクララ・カウンティーは全米で最もインド人の人口が多い地域となりました。優秀なエンジニアを国内外関係なく集めると、どうしてもインド人の数が増えるのでしょう。そのため、インド人を相手にしたビジネスも増えています。最近コカ・コーラが地域限定で売り出した「コカ・チャイ・コーラ」もその一例で、コーラをメインに、お茶とミルクをカルダモンとシナモン風味で仕上げたというドリンクです。これも地域限定、カレー味のドリトスとピッタリ合うというのがすばらしいので、最近やたら凝っています。