去る10月22日、JTPAの分科会として第一回技術交流会が
開催されましたので、その報告をします。
この分科会へ参加表明されている方は、エンジニアを中心に
36名を数え、当日はそのうち21名の方々が参加されました。
準備委員会は、佐藤さん、吉川さん、四元さんと松宮で
2回の会議とメールのやり取りで準備を進めてきました。
開催場所は San Jose Airportすぐ近くの 
NTT Docomo Lab USA様の会議室を借りることができ、
当日の会場案内など、NTT Docomo Lab,栄籐さん、渡辺さん、
また準備段階でトールマンさんに大変お世話になりました。
この場をお借りして、改めてお礼を申し上げたいと思います。


当日のアジェンダは以下のとおり。
6:30 ネットワーキング
7:00 NTTドコモラボ 栄籐さんより案内、挨拶
7:05 開会挨拶、準備委員紹介 (松宮)
7:10 自己紹介. 興味分野、交流会に期待すること。(全員)
7:40 プロジェクト概要説明 (佐藤さん)  
8:40 アプリケーション例 ディスカッション
9:20 議事確認, 次回の議題確認
以下、時間の許す限り ネットワーキング
当日の役割分担
プレゼンター: 佐藤真二さん
進行、書記: 松宮
受付: 吉川さん、四元さん
会計: 吉川さん、四元さん
カメラ:四元さん
以下は、当日の議事録として残します。
1) 開会挨拶の内容(一部、加筆) (松宮)
参加者の方々から、「会の目的は?」という質問や
「人脈を作るために参加したいがいいか?」という問い合わせが
幾つかありました。
それに答えるために、技術交流会の目的について話しました。
まず、JTPAの目的は、「シリコンバレーで働く・働きたい
プロフェッショナルをサポートする」ということでした。
それにあわせて、技術交流会の目的は、
「上記の人々に対して、技術的知識の向上や手助けをする、
あるいはトリガーとなる。人的ネットワークの構築の環境を提供する。」
というのが、適切なのではないかと思います。
私自身は、自分自身の専門外も勉強したいということと、
人脈をつくりたいという目的で技術分科会というものを
立ち上げたいと思っていました。そういう個人の目的を
手助けするのが会の目的になるのではないでしょうか。
そういうわけで、「人脈をつくる」というのは、会自身の目的ではなく、
人脈を作りたいという個人の要望に対する環境として会の
存在意義があり、会の活動を通して、結果として出来上がる
最大の果実が、その人脈であるのではないかと期待しています。
その会の目的に対して運営面を考えると、具体的な
プロジェクトというものは、最終的なプロジェクトの目標を
見据えて各々の要素技術を学んで理解していくために
非常に効率的、効果的であるし、自分達の意見を戦わせて
深く話すことによって、人脈つくりの助けになると思います。
今回のプロジェクト「最強のPDAをつくる」の求めるものは、
参加者の技術的興味分野をほとんどカバーするものであり、
ビジネス興味分野にもつながるものであり、また技術を
あまり知らない方々でも、とっつきやすい内容なのでは
ということで最適であると考えています。
2)自己紹介(全員)
色々なバックグラウンドを持った方が集まりました。
皆さん、現在のPDAに不満、要求がたくさんあるようで、
この会の盛り上がりを予感させるものでした。参加者には、
それぞれの方のバックグラウンド、興味分野を示した名簿を
配りましたが、これから、適時アップデートしていきたい
と思います。
3)プレゼンテーション(佐藤さん)
今回のプロジェクトに際して、佐藤さんより、
「Mobile Computing Platform Concept」という題名で
プレゼンテーションして頂きました。
(以下、内容要約)
現在の携帯電話の興隆によって、PDA市場は押されている
状態。将来、PDA分野はなくなるのではないかという懸念が
ある。(携帯電話機がPDAの機能を全て取り込んで進化するため)
一方、パソコン分野も、主流はノートブックとなり、
デスクトップ市場はすごく小さくなると見られている。
だが、(佐藤さんは)ノートブックと携帯電話だけでは
満足できないと思っている。
その中間的なモバイルコンピューティング環境が欲しい。
それをPDAと呼ぶのは誤解が生じるので別の呼称を
つけたほうがいい。
現在のいわゆるPDAは「帯に短し、たすきに長し」で、
自分の要求を満たすものは無い。機器としては、
アップルのニュートンが自分の理想に結構近かったが、
肝心のネットワーク接続性が全く無かった。
4)アプリケーション例 ディスカッション
製品の基本的なビジネスサイクルとして、以下に示したように、
b)からg)が考えられますが、それらに入る前に、進め方としては
ニーズオリエンテッドとし、 h)アプリケーションを考えてそれに必要な
a)要素技術を勉強していくのが適切かと思います。
a)要素技術
————————-
b)製品仕様
c)製品設計
d)製品製造
e)製品テスト
f)製品流通、販売
g)サポート
————————-
h)アプリケーション
実際に、自分達の現在不満に思っていることや、あったら良いなあ
という機能などを話し合ってもらって、そこに使われている技術は
なにか、既存の技術で足りないものは何かなどに昇華していくことが
ステップとして必要だと思います。
今回、アプリケーションを考えてもらう上で、たたき台としての
PDAの例を以下のように示しました。
{PDAとして必需品}
  *表計算(式計算、コンバージョンも)
  *エディター
  *メール
  *スケジュール帖、電話帳
  *各種辞書、言語辞書、専門書、標準表など。
{他にあったら便利なツール}
  *簡易プロジェクター
  *組み合わせツール、シナリオ作成ツール
  *プログラムデベロップメント環境
{別のアプリケーションとしての例}
  *ネットワーク構築のデモ用端末、
   オンサイトトレーニング端末などにも使用可
以下、ディスカッションの内容。ホワイトボードに書いたものを記します。
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*大半のもの、辞書、スケジュール、表計算なども、Thin Client として、
  Webサービスだけで実現できるのではないか。
  但し、通信インフラが必要。
*ストーリーボード
*大量文書は紙のほうがいい。
*高精度カメラ、スキャナを入力デバイスとして。
*画面のカスタマイズ機能は欲しい。
*エンターテイメント(MP3,MPEG4)は必要
*インターナライゼーション、どんな言語でも扱える環境がいい。
*録音機能
*電話カード、但しネットワーク機能があればVoIPがあるので、
  通信を整えれば、電話機能として考えなくても良いのでは。
*通信は絶対必要
*GPSほしい。
*Optical Character Recognition
*Voice Recognition
*使う状況で考えたほうがよいのでは。
*入力の遅さを何とかしたい、速度化、簡便化
*情報の一覧性の向上
*人間の記憶と同じ記憶法、場所、時間、印象などで思い出せる。
  感情を表せる(でかい文字など)
*セキュリティ
*今までの強力なツールとしての補完性、例、紙とともに使う。
*机が無くても入力したい。
*既存のPDAのキーボードのプチプチ感は好き。
*クロスパッドやEbookはあんまり売れてない。
*五感で思い出せるようなもの
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これから、手探りでアプリケーションから、要素技術、
そしてその後の進め方を考えていかなければいけないのですが、
まず大まかな地図を作りたいと思います。以下は地図のための
切り口として、このディスカッションの中から抽出してみました。
{脳の補助機能としての役割}
*自分の記録を助ける (入力・ 出力) 
     大体の不満はこの部分にあるのでは。
*自分の考える行為を助ける (入力、処理、出力)
*他者への説明を助ける (出力)
{使う状況、場所}
机の上、座ってるが机なし、立ったまま、両手・片手、歩いてる、
運転してる、ご飯を食べてる、電話をしてる 等
会社(自分の机、会議室、ラボ、廊下)、家、カフェ、山 等
これだけで地図の切り口としては十分でしょうか? 
参加者の皆さん、考えておいてくださいね。
他に、意見として
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*たかだが30人の声でPDAができるのか?マスをもっとリサーチ
  しなければいけないのでは。
*佐藤さんという特殊な(尊敬の意味)エンジニアが必要とする
  ツールで売れるものができるのか。
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私の個人的見解では、そもそもマスを狙うようなデバイスを作るのか、
という疑問があります。マスマーケットは、大手企業が利益目的で
カバーするのが通常です。
分科会の目的は、個人の必要や要求を助ける環境を提供するということで、
今現在のマスとして認知されない人の願いをかなえるというのは、
目的に結構あってるのでは思います。
もっともマスリサーチが必要なのであれば、後に分科会でそういう
活動をしてもよいのではとも思いますが。
この部分は、アプリケーションとあわせて、今後も毎回、討論が
必要な部分かもしれません。
要素技術の切り口として、考えられるだけ以下に示しておきます。
アプリケーション地図と統合していきたいと思います。
{ベースとなる技術やインフラ}
プロセッサ、メモリ、ストレージ、ディスプレイ、電源・電池、筺体、
キーボード、マイク、その他外部I/O、無線通信、有線通信、
セキュリティ、OS、アプリケーションソフト、
既存アプリケーション統合環境
以上、 第一回目の議事録です。
松宮 博
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