今年の春にJTPAのニュースレター座談会に参加、当時アメリカ留学中で、現在インドでインターン中の岩崎さんから、現状報告のメールをいただきました。


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お久しぶりです。2004年3月に独りでシリコンバレーを訪問させていただき、
お話させていただきました。ウィスコンシン大学マディソン校で勉強していた岩崎将人です。
皆様お元気でしょうか。
実は、5月の中旬に正規交換留学が終わってからそのまま東へ飛び、インドのシリコンバレー、バンガロールのコンピューター企業でインターンシップをしています。帰国は9月1日です。街には野良牛、野良犬、野良馬、野良猿が徘徊しています。
私の働いている企業は、日本の某企業のオフショア開発のために2002年10月に
建てられたもので、5月に来たときは従業員数50名だったのですが、8月23日現在、100人まで倍増しています。ただでさえ難しいインド人の名前を、新しい人の分まで覚えるのは至難の業です。
インドは、一人当たりの単価が非常に低いです。例えば、普通のレベルのエンジニアでは1ヶ月の給料が3万ー4万円くらいです。日本人一人と、インド人10人くらいが同じ天秤にかかってしまいます。
一方、10億も居て、そして国としてコンピューター産業に力を注いでいるので、時々天才的な人間も出てきますが、協力作業、集団行動、規律遵守などが、日本などと比較したときに、少し劣っています。
「高い技術を持つ人も居るが、団体として動くと、その力を発揮できない」
という感じです。
技術力の高さは、上記の日本人1-インド人10の関係のように、数で何とかしている面がまだまだあります。とはいうものの、今、バンガロールでは熟練したエンジニアの不足に困っています。そして彼らは、より高い給料を求めて会社を移り渡っていきます。普通に、プロジェクトリーダークラスが、プロジェクトの途中でも、別の会社に移ったりします。まだオフショアの会社のエンジニアの平均年齢がに若く、経験が浅いのですが、これはほとんどすべてのほかのオフショアの会社にもいえるはずです。(私の居た会社は恐らく平均年齢25、6歳くらいです。)
後、10,20年もすると、質の高い需要に対して、それに応じた供給が出来るようになると思いますが、そうなると、賃金が高くなってきてしまいます。既にバンガロールは、人件費が非常に高騰しています。他のインドの都市のコンピューター会社と比較すると、大きな違いです。(他は1ヶ月で2万円前後)。
システム設計に限れば、日本側が基本設計、詳細設計をしてオフショア開発側に実際の開発、単体テスト、統合テストをさせるという流れです。ならば、日本のソフトウェア産業は、上流工程に技術力の高さが必要な気がしています。日本だからこそ出来る(インドでは出来ない)ソフトウェアへのアプローチが必要なのでしょうね。
そして、インドと日本の企業文化の違いが様々なところで誤解を起こしたりと、解決の難しい面も多く見てきました。また、プロジェクトの全体像をオフショア側にも見せないと、モチベーションが下がったり、理解度が低いまま開発しバグが多発するなど、現場の感覚を直に見ることが出来ました。
インド英語(特にタミルナード出身者)には随分苦労しました・・・。
(ordinary がoRinaryに聞こえます。D音のかけらもありませんでした。)
長くなってしまいましたが、以前訪問させていただいた時のアウトプット(お礼)として、書かせていただきました。
いろいろと今後も頑張っていきたいと思います。
皆様にもよろしく御願いいたします。
それでは失礼いたします。
岩崎 将人